「真愛ちゃんって言うんですか?」
「そうでーす」
「ママに似てますねぇ」
「やぁだママだなんてキャーッ♥♥」
「…奥さん、変わってるわね」
「…まあな」
真裕と咲乃とやらはどうにも波長が合うらしい。
楽しそうに真愛を囲んでキャーキャー言っていた。
「初対面の人間にあんなに懐くの珍しいな」
「いや犬かΣ」
そうしているうちに、真愛の自慢は終わったらしい。
「さーてパパを連れて帰りましょうねぇ真愛ちゃん♥」
そんなセリフと共に車に押し込まれた。
「さ、ユウキも早く乗って」
「パパって言葉超似合わないね」
「結美ちゃんったらー」
「いやぁでも確かに似合わねーよ」
「大変お騒がせいたしましたー。失礼いたしますわ♥」
「あっ、は、はい」
「あっどうも…」
「真愛ちゃん見せてくれてありがとうございました!」
「ちなみに主人は明日はお休みさせていただきますねー」
俺から見えているのは背中なのに、その言葉にある棘と、背中からも感じるオーラで『分かった?』と強く言われているように感じた。
そして真裕は軽く頭を下げると車に乗り込み、「野木さーんおうちー」と言った。

