「それはきっと…目の錯覚よ」
「はあ?」
「あなたはあたしを愛するあまり、あたしが輝いて見え…!」
「春の陽気は人をおかしくするってーのは本当なんだな…」
「…しみじみ言うなよ」
そうだよしみじみ言うなよ。
事実なのに照れちゃって。
さすが照れ屋さん❤
「いやお前ほんとどうしたよ。なんだそのアホみたいなテンションは。……そりゃ元々アホとはいえ」
「最後の一言超余計」
テンションとかじゃなく今あたし自身をアホ呼ばわりしたよね。
それどうなの?
愛する妻に対する言葉としてはどうなの?
「同時に自分の娘さえもアホ扱いするこの度胸! さすがは星野楓…」
「アホなのはお前だけだバーカ」
「バカとまで言った!Σ あたし今自分の存在価値疑ったよ!?」
「あのさ…バカでもアホでも間抜けでもなんでもいいけど、さっきの話はどうしたんだよ?」
「間抜けまでは誰も言ってねーよ」
「ああ…忘れてた」
「よく忘れられるなΣ」
まいいんだって。
ほっといたってそのうちお兄ちゃんがなんとかするでしょ?
大体まだ確定なわけじゃないし…。
藤峰家は常に最悪の場合に備えて動く。
ほら、備えあれば憂いなしっていうじゃない?

