実はあたし……母様の会社、MACOTOの社長代理を務めることが決まった。
今まで空席で、重役達は大変だったみたい。
だけど勝手に社長を決めることもできず…かといって、バタバタしてたあたし達に相談もできず。
どうしていいか戸惑っていたらしい。
今代理という形をとっているのは、あたしに来る仕事の量を減らすため。
子育てが一段階着くまでの一年少しほどは、副社長やマネージャーなんかに出来るだけ任せることになったの。
藤峰家としての公務もしばらくは全部父様が。
とはいえ少しは仕事があるわけ。
今日は朝からかかりっきりだったんだけど…かえくんはそれが気になるらしい。
「あんま根詰めんなよ?」
心配そうにそう言う彼がなんだかおかしかった。
本当に心配性なんだから…。
「ほら。これで終わりだから」
「ん…」
「ふふっ。これじゃあなたが産まれたときが心配ねー。きっと『嫁にはやらん!』ってやっぱり言うわよ」
「あのな…」
だいぶ大きくなったお腹に語りかけたら、かえくんは呆れた顔をした。
そうそう。
お腹の子は女の子だったんだよ。
それが分かった時のかえくんといったら…。
「…無駄にならなくてよかった…」
…って。
今までに買ったお洋服を見てそう言ったの。
もっと違う反応を期待してたのにー。
ほら、娘だ❤って喜ぶとかー…男の子も欲しかったなーなんて言ってみるとか…。
第一声が「無駄にならなくてよかった…」だもんね。
なんの心配してたんだよ。みたいな。

