―――……
「かえくんかえくん今日お休みなの?」
「んぎゃっ…にゃあぁぁ!」
「あらあらどうしたの真愛ちゃん」
「……あ。やべ」
「あっおはよう。寝坊しちゃったの? 珍しいのねー」
朝っぱらからこんなにバタバタするのは初めてです真裕です。
かえくんに至っては、あたしの知る限りでは初めて寝過ごしました。
まあ無理もない。
昨日は仕事が終わったのが深夜の二時頃。
その後も、数時間おきに真愛が泣くものだから結局あんまり寝られなかったみたいだし…。
このところずっとそんな毎日だから、疲れも溜まってるんだろうと思う。
「間に合うの?」
「たぶん」
特に焦る様子もなく、真愛の頭をひと撫でしたかえくん。
しかしそんな旦那よりもあたしが気になったのは、そのひと撫ででピタリと泣き止んだ娘のほうである。
「……偶然ね」
「ポジティブだな」
「まあね」
これが例え、この子が生まれて二週間ほぼ毎日のことだったとしても、あたしは偶然だって信じ続けるわ…!?
「ポジティブもそこまで来るとただのアホだな」
「失礼ね」
「楓まだ? …え、まだ着替えてんの?」
「ユウキだ。おはよう」

