「……あのさ、どっちかひとりでいいから電話出てあげなよ」
ひっきりなしに鳴り続けているというのに、ユウキもかえくんも出る気配がない。
かえくんに至ってはまるで聞こえませんて顔してガン無視だ。
仕方ないから代わりに出てみた。
「ハローハロ…」
『カエデェェェ！？ これなに！？ マジ！？ いつ！？』
「……えー…」
あたしカエデじゃないよー…かな？
それともこれってどれ？ …かな？
ていうかそもそもなにがどうしたの？ ……かな。
「あのーあなたはリジュよね？ 声デカすぎて分かんないんだけど」
『え！？ ……マヒロ！？』
「はあまあ一応私はそんな名前ですけど」
「ユウキくんユウキくん私も電話出てみたい」
「いや…ややこしくなるんでやめてもらえると助か…」
「もしもーし！」
「出たΣ」
「あっ父様なに勝手なことしてんの！」
「いやお前もな」
「あたしも！」
「んにゃっ…にゃああぁぁっ」
「あっまた泣いた！」
『あのちょっと……ねえ…』
いやだわもう。
ごっちゃごちゃ。
あっちからもこっちからも声がする。
