かえくんの言うことも最もなのだけど、あたし達は相変わらず頭を寄せ合ったまま。
父様が言ったのはこうだった。
「この子はさ…奇跡の子だっておもうんだ、私。だって重傷を負った真裕のお腹の中で生き続けて、楓くんがいなかったときのお前を支えたのは紛れもなくこの子だ」
…うん……そうだね。
本当に…。
「もしこの子がいなかったら、きっとお前はあのとき耐えられずに…今ここにはいなかっただろう。そしてそうなっていれば、楓くんだってあのまま目を覚ますことはなかったかもしれない」
『もし』なんて父様らしくない。
そう思ったけど、それを想像したらぞくりと寒気がした。
「この子はさ、二人の真実の愛を証明してくれた。それだけじゃない。色んな愛の形を、この子は教えてくれたんじゃないかっておもうんだ」
なんかすごいキメてやったみたいなこの顔をしなきゃよかったんだけど、ともかく父様はそう締めくくった。
「どう? いい名前でしょ?」
「う……んー…」
そう言われると、どうにも否定できなくなる。
真愛……か…。
うん。可愛いのは可愛いよね。
いいと思う?という意味を込めてかえくんを見てみた。
「いいんじゃない?」
わずかに口角を上げながらそう言われた瞬間あたしは決めた。
「じゃ、そうする!」
「えええΣ!? 私が言ったときは聞く耳持たなかったのにΣ!?」
「んにゃあぁぁあぁ~っ」
「あーもうっまた泣かせたぁ!」

