―――……
「あれ。楓…」
「楓様っ!? ままま真裕様はっ…御子は…!?」
そういえば腹も減ったかなと思い、厨房に向かっていた時。
少し驚いたような表情のユウキと出くわしたかと思うと、坂本さんがどこからともなく飛び出してきた。
「母子共に健康ッ無事女の子だったよぉーん!」
「はっ。旦那さ……大旦那様! いらしたので……はっ。し、失礼いたしまし…!」
「……楓くぅぅん。僕ってそんなにそんなに存在感ないのかな。これでも世界を股にかける大物なのに、オーラとかってないのかな君と違って」
壁に向かって体育座りをし、いじける姿はとても、孫が生まれた人間とは思えなかった。
「やっと生まれたんだ。ま、おめでと」
「ありがとう!! ありがとうユウキくん!! 君はほんとおに優しいよね!!」
「え"っ……」
「……」
「まあまあっ。それではお赤飯を炊かなくては…! お嬢様……が、お生まれになった奥様にはとびきりのお祝い膳をご用意してっ。それからそれから…」
今絶対真裕のことお嬢様って…。
「それでは大変失礼かと存じますが、わたくし準備がありますので失礼いたしますわ❤」
とても嬉しそうに、笑顔でぴょこんと頭を下げると、坂本さんはいそいそと厨房へ入っていった。
「……嬉しそおだったね。さかもっちゃん」
「たぶん…一番」
「…な。俺なんにもしてないのに優しいって、あんたら普段この人のことどういう扱いしてんの?」
「自分で想像しろ」

