――楓サイド――
「んー…ふえっ…」
「真裕ちゃん真裕ちゃん、もうちょっとだから泣かないで!」
みわ先生が来てからもう丸一日以上。
今朝方あたりから、真裕はもうキレることもせずずっと半泣き状態だった。
「はあ…っ…」
俺はといえば…なにもできず、ただ時々しがみついてくる真裕の背中を撫で続けた。
まあ、最初のほうは少しでも触れるだけでキレられたもんだが…。
「大丈夫大丈夫。この調子ならね、お腹切らないでいられるよ」
「んー……っふ…」
肩で息をしながら眉をしかめる真裕を見ていると、動揺しそうになる。
本当に大丈夫だろうかとか。
こういうとき、本当に男はなにもできないんだなと妙に納得したりとか。
そして。
「さあ真裕ちゃんっくじけるなっ」
…いや、なんだよそのノリ…。
「うー…っ」
えらく体育会系になったみわ先生の妙な掛け声とともに。
「ばっちこーいっ!」
「いやいやなにがΣ」
――んにゃあーっ…
「勝ったーッ」
「いやなににΣ」
……俺達の娘は、生まれてきた。

