-あれから数時間…夜の10時。
様子からして、まだ生まれそうにはないっぽい。
時々ちらりと部屋の外を覗くものの、いつ帰ってきたのか真裕父がまたうろついているだけ。
いつもならそろそろ風呂にでも入るはずの俺も、どうしても気になって少し落ち着けずにいた。
「失礼します。ユウキ様」
そうしていると、坂本さんが食器を下げにやってきた。
「申し訳ありません。少々遅くなりました」
「あ、いえ……」
「真裕様でしたら大丈夫ですわ。女は強いのです。子供を産む力はちゃんと持っていますわ!」
「え゛」
相当物言いたげな顔でもしていたのか、突如そんなことを言われた。
気にしていたことを見抜かれたような気分になり、なんとなく気まずかった。
「それでは失礼いたします」
深々と頭を下げ、食器をトレーに乗せて坂本さんは出て行った。
「ありがとうございます」
あの人もよく働くよなぁ……。
あの真裕についてるってだけでも大変だろうに、今家のことやってんのほぼ一人でだろ?
「……大変だろうに…」
思わず一人でしみじみ呟いた。
その後、気にはなりながらも結局そのまま風呂に入り…深夜1時頃、なんの変化もないようだったので俺は眠った。

