とりあえず電話してみるか。
そう思って、すぐにかけるも…なかなかでない。
ただ無機質なコール音が鳴り続けるだけだ。
おかしい。
瞬時にそう感じた。
「あの…すいませんがちょっと戻ってもらっても?」
「は……いかがなされましたか?」
「真裕がどうかしたかもしれない」
「真裕様が? ど、どうかというのは…」
「いや…分かりません。ただ、妙なメールがきたかと思ったら電話に出ない」
出られないのか?
なぜ?
まさか倒れてるんじゃ…。
そう思い出すと、冷や汗が伝った。
「急いで引き返します」
焦ったような野木さんの声が、さらに俺を焦らせる。
ここまで来るのに、大体三十分ほど車を走らせた。
帰りは二十分とかからなかったあたり、さすがだ。
「一応ここで待っといてください」
「御意にございます」
心配そうな野木さんを残し、小走りに部屋へ向かった。
途中、家に電話すればよかったんじゃないかと気付いたが、よく考えればここの回線は多くて、どこがどこに繋がるのかいまいち把握していない。
どちらにせよ無理だったな…ユウキのやつもいないし。
そうしているうちに部屋の前まで着き、「まお?」と声をかけながら入った。

