秘密のMelo♪y⑦*完結編㊤*


「なんとか聞き出した名前から、私は彼のご両親について調べたんだ。すぐヒットしたよ。加納家の名前が。そしてお母様が再婚されたこともね」


「……」


俺はなんの反応も出来ずにただ、無駄に高級感の漂うテーブルを睨みつけていた。


「なんでこんなところにいたのかとか、聞くことはたくさんあったけれど、彼をしばらくうちで預かることにしたんだよ。私はね……」


嘘だろ…。

朝陽が藤峰家に…?


思わず口をついて出そうになった一言。

続いた真裕父の言葉で、一気に冷めて言葉を呑んだ。



「私は…! 実はちょっと息子も欲しかったから…!」



「……」


「小生意気だけど可愛かったんだよ! 養子にしちゃおうかと思ったくらい…!?」


…この人本当に、真面目な話真面目に出来る人なんだろうか…。


「まあでもその頃彼は十一で、本人の意思もあるし、『これ以上世話になるわけにはいかない』という彼の意向を汲んで三ヶ月ほどで施設へ行ってしまったがね」


藤峰家から施設…。

俺と違って、ずいぶんいい生活をしたみたいだな…。


「それ以降のことは知らなかったんだ。勝手にプライベートを探るわけにはいかないから、それきり連絡もしあうことなく…十年が経った。なぜ、今さら彼の名前が出てきたか分かるか?」


分かるわけがない。

そうだ。そこが一番の問題だ。

十年も経ってなんで今さら、アイツのことなんて調べたんだ?


そう思って、無言で首を横に振った。

それを見て、真裕父はこう言ったんだ。



「楓くんを撃った犯人が、彼――朝陽くんだったからだ」