――ユウキサイド――
―コンコン
大学も休講で、真裕も静かで、平和に一人の時間を過ごしていた昼下がり。
普段あまり鳴ることのないノックが鳴り響いた。
「はい?」
真裕……はノックなどせずにいつの間にやら入り込み、気が付けばそこにいたりする。
違うな。
楓? …は来ることないしな…。
それにあいつもノックなんてしなそうだ。
じゃあ坂本さんとかかな。
それなりに考えてアタリをつけながら返事をするも、向こうからはまったくの無反応。
「……?」
―しーん
「……まあいいか」
「よくないよおぉぉぉっ!? なに君その淡白さ! もうちょっと興味を持ってよそして『えっ…? ぽるたーがいすと…? …ホラーッ!?』…って叫んでよ!」
「あんただって推測がついたからどうでもいいんだよ。興味持ったところでポルターガイストとは別に思わねえよつか叫ばねえよ」
「うわすっげ冷たい。楓くん以上に冷たい。まおくらい冷たい」
というか一体何の用事で真裕父が俺の部屋に現れるわけ?
耳元で叫ばれたせいで顔をしかめながら耳を押さえ、いじけてみせるこのでっかい子供を睨みつけた。
「なんか用ですか?」
「意外と優しいΣ」
「いや普段どんな扱い受けてんだΣ」

