「というか…」
「なあにあなた❤」
「なんなんだよあんたその態度の変貌ぶりΣ」
当たり前だわ。
主人以外の男に色目使ってどうすんだよ。
「おまっ…色目とかどこで覚えたそんな言葉…!?」
「本気で焦るなよ…」
「花梨か。花梨だな? チッ…くっそあの野郎…」
「…本当に娘産まれて大丈夫か?」
「あ"?」
「ねえねえそれよりなあにかえくん」
「あ"? ああ……いや、全然関係ないんだが…五十二代目って相当長くないか? 前から思ってたけど…」
「確かに…。千年以上続いてる計算になるな」
「ああ…。まあ確かにうち長いけど、そこまでじゃないよ」
ただ、一人当たりが当主を務める年数が短いんだよね。
長くて十年から二十年…時には数年なんて人もいたらしい。
それに子供が出来なかった夫婦の場合、例えばその時の当主が十代目とかだったら、十一代目不在ってことになるの。
で、十代目に兄妹がいたらその兄妹の子が“十二代目”として当主につく。
これはなぜかっていうと、もし現当主が亡くなってしまった場合は、子供がいない、またはまだ小さすぎてなれないときに兄妹の子が次期当主に付くから。
つまり、「十一代目は亡くなった」…ってことにされちゃうんだね。
そしているけれど小さかった場合は、年齢を満たしたところでさらに次期当主となる。
こうしてどんどん数だけ重ねていったんだよね。
しかも、直系の子で長子じゃなきゃいけないってしきたりがあるからなおさら。
不在っていうの、案外多いんじゃないかな?
「へ…へえ…」
「……お前ほんと見かけによらねぇよ」
「かえくんにまで言われたΣ」

