「なんでこのお腹こんなに出てるんだろう…」


そういえば長いことうつ伏せになっていない。

かえくんに抱きつくときだって邪魔になるし、案外不便なんだな、妊婦って。

でも…もう一ヵ月以内にお別れかと思うとそれも寂しい。

だけど赤ちゃんに会えるのは楽しみだ。


「…あまのじゃくなんだな、妊婦って」


「なにを悟ったような顔してんだ」


「あっ! おかえりーっ!!」


ぺんっと軽くはたかれて振り返ると、呆れたような顔をしたかえくんが立っていた。

自分の頬が一気に緩むのを感じながら、かえくんの首に腕を回した。


「なにしてたんだ?」


「考えごと?」


「それにしちゃ、えらく突拍子のないことを呟いてたな」


「いやぁ…なんでこのお腹、こんなに出てるのかなって思っててー」


「…要するに暇だったわけだな」


「まあそうとも言うよね」


でももうかえくん帰ってきたしっ。

退屈な時間も終わりってもんだ。


「ねえねえ~っ今日もうどこも行かない?」


「行かない」


「お仕事する?」


「しない」


「きゃ~っっ❤」


やっっったあ!