「おっじゃあなー!」
「明日ねえ」
「…来るかしら」
「失礼Σ! 結美ちゃん謝って!」
…こいつら…。
俺はまともに会話を成立させたこともないのに、よく怯まず付き纏っていられるな…。
つい、他人事のようにそう思ってしまった。
「お帰りなさいませ。旦那様、ユウキ様」
「…旦那様…。ククッ…」
「てめえコラ殴るぞ」
車に着くと、野木さんが深く腰を折って言った。
確かにその単語は俺も慣れん。
だがお前に笑われる筋合いはねえ。
…と、何度言ったことだろうか。
「真裕は?」
「お嬢さ…あっえーと…その…奥様は、お部屋で泣き伏していらっしゃいます」
「てことは琥珀は…」
「はい。捻挫をしていたそうです」
めんどくさそうだな…。
ただの落ち込みならまだしも、あいつの落ち込み方はわけがわからなそうだ。
というか…。
「奥様……ぷっ」
「おい。先に笑うな」
俺以上に違和感ありすぎだろ、あいつが「お嬢様」以外で呼ばれるなんて。

