「漫才やってるとこ悪いんだけど、これなんとかしてくんない」
「あ、ユウキ」
かえくんの一言に衝撃を受けたあたしの目の前に差し出された紙切れ。
見上げると、その先にはユウキがいた。
「なにこれ」
「なにこれじゃないだろ。あんた達が俺の部屋に押し付けたんじゃん」
「当然だ。居候なんだからな」
「空き部屋いくらでもあんだろ…」
いや…でもさ。
「空き部屋に置いたらなんの嫌がらせにもなんないじゃん」
「ぼそっと言ったなおいΣ」
ユウキが持っているのはあたし達夫婦宛てに届いた手紙の一部。
まあ…内容は読まなくても分かる。
きっと全部こうだ。
『ご懐妊おめでとうございます。五十二代目となられる御子とのことで、つきましては今後…』
なんて。
色々仕事を持ちかけてきてるんだろうな。
そう思って、全部段ボールに詰めてユウキの部屋に押し付けたのだ。
『は!? なんでこんなもんっ…』
そう戸惑ってたユウキがまあ面白かったのなんのって…。
「邪魔なら捨てといてよ」
「いいのかよ? ……というかなら自分らで捨てろよ…」
「いいのいいの。だいたい今新しい取り引きする気ないから」
「ふーん…。あんたってホント見かけによらないよな」
「どういう意味かな」
「別に?」

