――楓サイド――
腕の中で震える真裕を、凝視せずにはいられなかった。
こいつは…誰が思っているよりもずっと、ずっと深く傷ついている。
俺でさえ、あの事件がここまで真裕の心の傷になっているとは思わなかった。
俺のいなかった二ヶ月が、想像以上に真裕のトラウマになっている。
それでなくてもひとりを嫌う真裕が母を失い、失う恐怖を知って。
そこへ持ってきて一番近くにいた俺を失う恐怖を味わった。
それも二か月間ずっと。
特に母を失って以来、俺に「依存」というレベルで寄りかかっていた真裕には相当きつかったんだろうと思う。
唯一妊娠していたことが救いとなって、どうにか最悪の事態は耐えられたようだったけれど。
俺が無事だと分かってからも、極端に俺の姿がないことを嫌がるようになった。
「ね…もう行かないよね。どこにも…」
泣くのをこらえているのか、小刻みに震えながらそう言う。
「行かない」
「ん…」
その姿を見て。
怯えている…。
ふとそう感じた。
何よりも一番この言葉がしっくりくる。
今の真裕は、明らかに怯えている。
「悪い。真裕…」
「なに…が…?」
「ん…? 別に…」
少しずつでいい。
そんな思いは忘れちまえ。
もうそうやって苦しむな。
真裕…。

