「分かってるよ。悪かった…」
「えっ…」
それはかえくんの腕だった。
起こしていた上半身を抱きしめられて、あたし思わず固まった。
「でもな、お前に体壊されたんじゃ、そのたびに俺は寿命が縮まりそうになる」
「う…ん……」
分かってる…んだけど…。
あたしはもう、お腹にいる自分の子どもを守らなきゃいけない身なんだってことも…。
かえくんがあたしをすごく心配してて、本当はあたしから目を離したくないくらい人から見ててあたしは不安定なんだってことも。
分かってる。
「だけど…だけどあたし、すごく怖い」
「……」
「かえくんがそばにいないと、怖くて怖くて仕方ないの」
帰って…来ないんじゃないかと思ってしまう。
また、目を覚ましてもそこにいないあの苦しい日々に戻るんじゃないかって。
怖くて怖くて眠れなくなる。
なにかをして気を紛らわせてないと、泣いちゃいそうになるの。
だけど赤ちゃんがお腹を蹴る度に、心がズキッと痛む。
ああ…あたし、その代わりにこの子につらい思いさせてるんだって。
自分の無責任さと自分勝手さに腹まで立ってくる。
「…俺はもう絶対お前をひとりにしたりしないから、安心して二人で待ってろ。な?」
「でも…思い出すの。思い出して、死にたくなるくらい怖くなる。どうしたらいいのかな」
「…真…裕…」
一人きりの夜を迎えた途端、先の見えない真っ暗闇に叩き落されたみたいに怖くなる。
助けを求めても、誰にも届かない…。
そんな恐怖。
ぎゅっとかえくんにしがみつきながら、呟いた。

