――真裕サイド――
「…あ…楓様…!」
「真裕?」
「先生が帰られてからずっと眠ってらして…」
「……」
「え…? かえくん…?」
「真裕…」
あれ…。がっこう…?
…ていうかあれ。
あたしは…。
「あ!」
ハッと覚醒してそのまま手をお腹へやった。
よかった…いる。
いつもいつも、この繰り返しだ。
なんでこんなに…あたし、赤ちゃんにつらい思いさせてるのかな…。
目が覚めたとき、いつも思うんだ。
「大丈夫か?」
「うん…」
こうしていつも心配してくれて、仕事中でも帰って来てくれるかえくんにも悪いと思う。
泣きそうな顔でそこに立っている坂本さんにも…。
「かえくん…お腹痛い…」
「もう少し辛抱しな…」
「……怖い」
「大丈夫だよ…」
そう言って静かに頭を撫でてくれるかえくん。
体の力が抜けていくようだった。

