――ユウキサイド――
「帰る」
「……は?」
いや、こいつなに言って…。
―ガタッ…
「いやいやいや、ほんとに帰んのかよ」
なんだ? 今の電話か?
もしかして真裕に何かあったのか?
……あ…また倒れたか…?
『おや? どこに…』
『妻が倒れまして』
『妻……ああッΣもういないΣ』
前のほうの席だった俺にはその会話が聞こえ。
やっぱりか…と思った。
あいつ、本当に大丈夫かよ。
退院してからもしょっちゅうこうして倒れるし…。
もともと丈夫なほうじゃないらしいしな…。
「ねえ聞いた? 妻だって」
「奥さんて藤峰真裕よね」
「え? 確か妊娠中…」
「でも今倒れたって…」
「……」
「……」
「……」
「……産まれんの?」
違うΣ

