「いや…そりゃどういう意味で」
「んー? 一緒にいたら近寄りがたそう……や、一人だろうがなんだろうが近寄りがたいな」
「…お前な」
言いかけてふと見上げるとかえくんの顔。
なんかね、「あ。近寄りがたそう」って思った。
「まあ頑張ってね」
「お前よりはマシだから平気だ」
「あたしより」
「ほぼ伝説化してるからな。藤峰真裕は」
「えーなんで?」
「表舞台に立たなさすぎた割には人気が高すぎた。しかもそれは今も不動のものだしな」
「んー…?」
えーっとー…。
んー…?
「分からなきゃいいんだよ別に」
「? うん」
いいならいいけど。
素直に頷いて、かえくんの服をクルクルした。
『真裕様、楓様。目的地まで数分ですが、いかがいたしましょう?』
ちょうどそのとき、運転席の野木さんか車内線が入った。
「んーっとー…歩いちゃダメ?」
「まあ少しくらいなら」
「じゃ、ここら辺でいいわ」
『はい。かしこまりました』