「えーでもじゃあかえくん学校行っちゃうの?」
「仕方ねえだろ。それを理由に言われちゃな…」
「ふーん……」
やだなあ。
今でさえ、仕事でいないときあるのに…。寂しいのに…。
そう思うあたしは自然に唇がとがっていたらしい。
「子供か」と鼻をつままれた。
「仕事は極力家の中だけに抑えるらしいから大丈夫だ。基本的に夕方には帰る」
「絶対ー?」
「ああ…」
「絶対よー?」
「はいはい…」
出張…がなくなっただけ、マシかな。
うん、お泊りでいないとあたし、寝られないもの。
「ね、いつから?」
「さあ」
「あ、ていうか大丈夫なの? 『星野楓だっ。本物だっ。かっこいいっ。すてきだっ』ってなるわよ」
「一部なんねえよ」
全部なると思う。
「大丈夫だろ。一応音大だしな」
「そうなの」
でもきっと大丈夫な気がする。
ほら、今ユウキがいるのと同じとこでしょ?
うん。絶対なんとかなるわ。

