秘密のMelo♪y⑦*完結編㊤*


「…じゃあ食べ放題とかバイキングでいいわよ」


「なんでお前自分が妥協した気でいるんだよ」


ぶーっと唇を尖らせながら、下向きに歩くあたしの姿はさぞ子供に見えることだろう。

しかし心配はいらない。

なぜなら私が子供に見えても私の腹にはさらに子供がいるからだ!


「便利! 妊婦超便利!」


「いやなに利用価値を見出してんだΣ」


「あたしあと一年くらいこのままでいるね」


「できるもんならな」


わあいやだ。

負けた気がする。

なんかものすっごい負けた気がする。


「あ、そういえばかえくん、あれなんだったの?」


「あれ?」


野木さんの待ち構えていた車に乗り込んで、ふと思い出して聞いた。


「うんあれ」


「どれ」


「これ」


「ああ…。……いやお前なんでそんなもん持って…」


あたしが取り出して見せたのは、父様のアホな顔の写真。

勘違いしないでおいてもらいたいのが、こんなもの好きで持っているわけではない。

断じて違う。父様が送ってきた封筒に入っていたのだ。

なぜそれを今持っているのかというと…。


「…まあ、出し忘れたんだよね。鞄からね」


「……」