そこへ、少し遠慮がちに…困ったような笑顔を浮かべた坂本さんが、トレーを持って声をかけてきた。
様子からして今来たというわけじゃなさそう。
入り損ねていたのね。
「ごめんごめんありがとう」
「い、いえ。わたくしこそお邪魔致しまして…」
「なにを?」
「え? あ、い、いえ! それより琥珀ちゃん達楽しそうですわねぇ。おほほほほっ」
「んー? そうだねぇ。ここの中庭に連れてくるの、初めてだからねぇ…」
のほほんと琥珀達を見つめながらも、目の端にしっかりとらえているかえくんの姿。
めちゃくちゃ優雅にカップを手にし、これまた美しく口に運ぶ様は、それはもうこの世のものとは思えなかった!
「…?」
「素敵…❤」
「……」
…二度見されたかと思えば、思わず口をついた言葉にドン引きされた…!
しかもあからさま! ひどい!
「ああ…いいわ。かえくんのひどさがこうも露見するのも幸せの証拠…❤」
「どういう意味だコラ」
ううんいいの…気にしないで?
ただわたし……あなたのそういうところも愛してるって話…!
「…坂本さんみわ先生を呼ん…」
「失礼な!!Σ 春の暖かさにちょっとテンション上がっちゃっただけでしょうが! それをなにっ、ヤバい方行っちゃったみたいな…」
「そりゃお前はいっつもテンションおかしいけどな」
「こらこら。テンションおかしいとか愛する妻に言っちゃいけないんだよ」
「愛してるからこそだが?」
愛してるって言われた…!
……いや惑わされるなあたしーっ!!

