"ソコ"は滅多に人の通らない商店街の路地裏。
そこにはたくさんの不良が倒れていた。
その中心には、小学校高学年か中学校低学年ぐらいの少女が立っていた。
藍色の髪と目をした少女。
髪は肩より少し上ぐらい。
彼女の肌は異常すぎるほど白かった。
そしてこの世のモノとは思えないほど整った容姿。
彼女の名前は《暁 昴(アカツキ スバル)》。
彼女の服装は長ランにパーカー。
そして、彼女の片手には気絶した不良。
昴はその不良をこの世のゴミを見るような目で見た。
その目はひどく冷たく、何も映していなかった。
昴はその不良をゴミのように投げ捨てた。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!!!」
別の不良が立ち上がり、昴に殴り掛かろうとした。
昴は不良を見ようとはしなかった。
昴は殴られそうになった瞬間、不良に回し蹴りを食らわせた。
不良は近くにあったビルの壁に当たり、そのまま崩れるように倒れた。
当たったビルの壁にはヒビがはえていた。

『つまんない…弱い、弱すぎる…』

「こんなとこにいたんだ。探したよ、昴。」

『…叶夛(カナタ)…』
口に飴を咥えながらやってきたのは昴の幼馴染みの《如月 叶夛(キサラギ カナタ)》。
彼は紅色の髪に薄い青緑色の目をしているが、前髪が長いせいで顔がよく見えない。
容姿は昴と同じく、この世のモノとは思えないほど整っている。
彼には女遊びの激しい兄がいる。
彼もいつもニコニコしていて、目を開けることは滅多にない。

『全然つまんない。こいつ等最初はあんなにでしゃばってたくせに、弱いね。途中で命乞いをするやつまでいたよ。』

叶「まあ、昴に勝てる奴なんてそうそういないよ。」

『だけどこんな強さじゃ彼奴には勝てない…』

叶「………」

『今日は何処で寝る?』

叶「…帰ンなくていいの?アソコに」

『お前が帰りたきゃ帰ればいい。俺はあそこにいたって弱くなるだけだ。』

叶「俺はいつでも昴と一緒にいるよ。」

『…ハハッ、やっぱ面白いな、お前って』
昴の目ははさっき不良に向けていた目とは思えないほど穏やかだった。