悲しみで放心状態の和輝のことなんかお構いなしといった感じで、玄関のチャイムが鳴った。 和輝は涙を拭い、ドアを開けた。 「あれ?」 そこには誰もいなかった。 キョロキョロと周辺を見渡すと、昼間会ったおじいさんに似た人が歩いていたような気がした。 もう一度目を凝らして見たが、見えることはなかった。 「気のせいか……」