「香澄ちゃん、あんた化粧落とすと昔と全く変わらないんだねぇ」 オーナーがコーヒーを煎れている側で、奥さんは香澄の顔をまじまじと見ながら言った。 「そうですか?まだ若くいける感じ?」 香澄は笑いながらおどけた感じで返した。 「元がいいんですね」 突然右側の方から声が掛けられ香澄は驚いた。 声を掛けられたからだけではない。 その声が、自分の忘れられない元カレと似ていたから余計にびっくりしたのだ。