「いつアメリカから戻ったんだい?」 横で寝ている香澄に特に気を使うことなく普通のトーンで話しかけてくる奥さんに対し、柏木は「おばちゃん、隣の子が起きちゃうから」と会話のトーンを落とすように提案し会話を続けた。 「実は今朝日本に戻ってきたんです。これからずっと、こっちの本社勤務になるので、またしょっちゅう寄らせて下さいね」 「うんうん。いつでもおいで」 それからしばらく、柏木はオーナーが出す料理に舌鼓をうちながら奥さんとおしゃべりをしていた。