「っぷはっ。あーあ、優介以上に思える男が現れてくれないかなぁ。ねぇーー?おばちゃん」
香澄はもう何杯目か分からない生ビールを喉に一気に流し込むとカウンターのテーブルへドンっとグラスを置いた。
「そうだね……香澄ちゃん、今日はペースが早すぎないかい?」
「いいのいいの。今日はクリスマスイヴなんだから。明日は仕事も休みだし多少酔っても問題無し」
奥さんの心配は余所に、香澄は陽気な声で「ビールおかわりーーーー」と空のグラスを片手で持ち上げていた。
しかし、オーナーの「ぐだぐだになった酔っぱらいは見苦しいぞ。今日はそれくらいで止めておけ」という言葉で注文は却下された。
「おじさんのケチーーーー」
香澄はそう言うと、カウンターに突っ伏していく分もしないうちに、寝てしまった。


