クリスマスイルミネーションが輝きカップルで溢れている街並みを、月岡香澄(つきおか かすみ)は一人で歩いていた。



(こうも見せ付けられると、一人はちょっと寂しいかも)



香澄は一人で何が悪いのという感じで颯爽と歩きながらも、心の中では少し寂しさを感じていた。






「ちょっと、そこのお嬢さん」



横からしゃがれた声がして、香澄は振り向いた。



(人が居たなんて全然気付かなかったわ……)



「えっと、わたしですか?」



香澄は周りを見渡し、自分しかいないことを確認した上で聞いた。



「そうじゃ。お前さんじゃ。どうだね、急いでないなら少し占いでもしていかんかのう?」



不思議なおじいさんの雰囲気に吸い込まれるように、香澄は「お願いします」と返事をしていた。