「突然泣きだしてごめんなさい。おじいさんに話したら少し元気になれた。彼が目覚めるまで、まだまだ頑張れそう」
美希は元の明るさを取り戻し、老人に満面の笑みを向けた。
「みんな見てみぬふりして立ち去っていく中、あなたはこんな老いぼれじじいを手当てしてくれた。そんな優しいお嬢さんに、これはわしからのクリスマスプレゼントじゃ」
老人は、上着のポケットから何かを取りだし、美希の手にそっとのせた。
それは、手のひらサイズのガラスで出来た小さなクリスマス飾りのツリーであった。
「きれい……」
美希がそれをじっと見つめていると、「それは願いを叶えるクリスタルツリーじゃよ。君の気持ちが届きますように」という老人のだんだんと小さくなっていく声が聞こえた。


