「それで、その電話で彼が事故に合って緊急手術を受けていることを知ったんだ。彼のお母さんも気が動転してて、状況がよく掴めなかったけど、とりあえず病院名を聞き出して急いでそこに向かったの。そしたら………………っ」
美希はそこで声が詰まって話すことが出来なくなってしまった。
そんな美希を老人は優しく見つめていた。
「ケガ……がひどくて…………意識もなくて…………手術は無事に終わって、一命をとりとめた…………けど……それから二年間……目を覚まさないままなんです…………脳死でもない、ただただ眠っているみたい…………」
美希は話終えると同時に嗚咽をあげ泣きだした。
老人は「辛かったの…………本当に辛かったの」と言って、美希が泣き止むまで背中を撫でてくれた。


