「あら、美希ちゃんじゃない。拓人と一緒じゃなかったの?」
美希が家の玄関を出ると、出掛けようとしていた早苗と遭遇した。
「早苗さん、おはようございます。実は、今日は駅前のツリーのところで待ち合わせなんです」
「あぁーー、そっかぁ。とうとう美希ちゃんと拓人がくっつく日がきたか」
照れ笑いしながら言う美希をからかうように早苗は言った。
「まだくっついてないよ。今日、拓人に気持ち伝えるんだ。もしかしたら、断られるかもしれないけど……」
「あら、それは大丈夫だと思うな。だって美希ちゃんとクリスマスデートができるって嬉しそうに30分前くらいに出掛けて行ったもの」
クスクス笑っている早苗だが、美希には笑い事では済まなかった。
「30分も前に出ちゃったの!?待ち合わせまでまだ後1時間もあるのに……わたしも急がなきゃ。じゃあ、夕方には恋人になって帰ってくるから覚悟してて下さいよ」
早苗に向かってにこっと意地悪っぽく微笑む。
美希は、いってきますと告げると、笑っていってらっしゃいと返している早苗を背に走り出した。


