「おじいさん、どうかされました?」
その老人はお世辞にも清潔とは言えない風貌であった。
声をかけられたことに驚いた様子の老人は美希の顔をまじまじと見ていた。
「あの……大丈夫ですか?」
何も返答をしない老人に美希は最初より控え目な感じでもう一度聞いた。
「あ……ああ、大丈夫ですよ。ちょっと転んでしまってね」
見ると破れて汚れているズボンの膝辺りが赤く染まっている。
「血が出てるじゃないですか!わたし、絆創膏持ってますからとりあえずその血を水で流しましょう」
美希は老人を水道まで連れて行くと、傷口を洗い、両膝、両手とケガしていた場所に絆創膏を貼った。


