バンッ


車に乗り込んだ俺は、タバコの箱とライターに手をかけた。


『今日も吸いたくなるようなことがあったんですか』


はぁー、と今日何度吐いたか分からない溜め息を、また吐いてしまう。

タバコの箱とライターをそのまま助手席に置き、代わりに常備されたアメを口に放り込み、ハンドルと車の鍵を握った。



思えば、授業の始めからあいつは突っ伏していた。

いつものように肩に手をやり、揺らした。

そしたら、聞こえたんだ。


『……いたい…』

佐藤の小さな呻き声だった。