「降りようか」 そう言って離れた手の温かさに不意に寂しさを感じながら、その言葉でさっきから止まっていたのは家の前だったと知った。 私はそれほどまでに先生の横顔しか見てなかったのだろうか。 いや、見えていなかったのだろうか。 「佐藤のご両親はまだ仕事だろう? 俺が部屋まで連れてってやるからな」 「は?」 確かに、うちの両親はまだ帰宅していないし、私は歩くこともままならない。 が、私の部屋に入る? そんなの絶対。 「いやです。」 「またかよ」 先生こそまた溜め息ですか、と言ってやりたい。