俺は佐藤が出ていった扉を、ただ呆然と眺める。

心臓だけは、普段より1.5倍の速度で動いていた。



佐藤が出ていっただけなのに。
いつも一人でいる部屋なのに。

こんなに狭い部屋すら、少しさみしく感じる。



本当に、あいつは何なんだろうか。……あんな風に、笑うなんて。

あんな、きれいに笑うなんて。



フーッと溜め息を吐いてから、椅子の背もたれに寄りかかれば、ギィッと嫌な音が静かな部屋に響く。