「俺が寒いの嫌いだからだよ」

そう言って指を差したのは、ストーブだった。

小さい部屋用の、小さいストーブ。


「持ち込んだんですか。」

「そうだね」

「いいんですか。」


いつも先生と話す時は喧嘩腰になってしまうな、と話しながら思った。


けれども、先生の話し方はいつもと違う。

なのに、いつものフッという笑いを浮かべた。


「ここはほとんど使われていないんだ。

だから、ストーブを持ち込んでも、ソファーを持ち込んでも、誰にも咎められない。」


確かに先生が座る机の隣に、狭い空間を広々と使って、弾みそうなソファーが置かれていた。