私は、最後の授業が終わるチャイムが鳴ったと同時に。

教室を飛び出した。


家庭科のおばあちゃん先生は、

「佐藤さんっ!?」

と驚いて腰を抜かしそうになっていたから、少し悪く思うけれど、気にしてはいられない。



数学準備室に、一直線で向かう。

別棟まで行き、階段を上がって、目的地を見つけた。



ひっそりと、音のない世界に。

ちょこんと壁に付けられた、茶色い押しドア。



そこを開ければ。


「いらっしゃい」

大きな机に向かっていたのを、椅子をクルリと回して、私を振り向いた。

そこに、間宮先生はすでにいた。