―――ギィー…

いかにも古めかしい音をたて、目の前のドアが開いた。

思わずうつむいた私の頭に。

「いらっしゃい」

先生の優しい声がぶつかったから、涙が出そうになる。

でも、それを堪えて見上げると、以前と変わらない笑顔。

いや、もしかしたらいつもより嬉しそうな笑顔の先生がいる。

少し不思議に思いながらも、私は先生の後を追って、部屋に入った。


…あ、タバコの、におい…。


いつかのように、必要以上に距離を取って、先生には近づかない。

近づけない。