あんなクソ教師を幸せにしてあげて欲しいなんて、思ってない。
断じて思ってなんかない。

「永瀬先生、ご結婚おめでとうございます」

「あら、やだ…、恥ずかしいわね。
美桜ちゃん、知ってたのね」

そう言いながら、先生は頬を赤く染めた。

「ありがとう、美桜ちゃんのおかげよ…」

微笑む先生は、やっぱり幸せそうで。

何が“私のおかげ”なのかは分からなかったけど、気にしないでおく。

なぜか妙に、何かから吹っ切れた私は永瀬先生に別れを告げ、また歩き出した。