「ふふふ…、それもそうね」

そう言って、私の頭を撫でてくれた永瀬先生の左手の薬指には、控えめに、しかし確かに輝く指輪がはめられていた。



「永瀬、先生…、」

「ん?」

「もっと幸せに、なってくださいね、」



また、鼻がツーンとして、なぜか泣いてしまいそう。
出過ぎたことを言ったとも思う。

「…べ、別に深い意味なんてありませんから!
ただ、先生がたくさん幸せになれば、私ももっと幸せになるかもと、思っただけで…!」

そんな自分を隠すように、早口で言い訳を述べる。