あいつだって、17歳だ。

付き合ってきたヤツの一人や二人いたって、何ら不思議はない。

それどころか、恋すらしたことのいないやつは珍しいだろう。

だから、ある程度は覚悟していたんだ。



でも、俺から目を逸らすように下を向いた時に落ちた涙の、あまりのきれいさに。

違和を感じさせないほど、未だに似合うその赤いピアスに。


ただ、カッとした。


もしかすると、いや、確実に。

佐藤の心には、まだ“好きだった人”がいる。


過去のことのように話すくせに、思い出になんて出来ていないことはバレバレだ。