「佐藤、元気になったか?」


久しぶりに先生の声を聞いた。

昼休みだと言うのに、別棟の、しかも隅っこにあるこの部屋はやはり無音の別世界のようだ。


「私、誰かさんのせいで、朝から注目の的で、疲れました。
病み上がりなのに、ひどいですよね?」


先生は右端の唇を上げ、いつものようにフッと笑う。


「そんな口が利ければもう大丈夫だな。」



僅かにする煙たさからか、胸に何かが詰まっているような感じがする。


「校内は禁煙ですよ、せんせ?」


心臓の音を掻き消すように、私は悪態を吐く。

自分に聞こえない振りをするために、わざと大きめな声で。