放課後



あの後、放課後6時まで残るように言われて二人で白鳥に渡された将棋やチェスもできるオセロ盤を眺めていた。神様は妙な試練を与えては俺達を試しているのか?肝心のオセロや将棋やチェスの駒は何処にもない。一体どうやって暇を潰せとおっしゃるのか。


二人は暇を潰せぬまま長い長い沈黙をただただ耐えていた。


「腹減ったな〜・・・ちょ、売店で焼そば買ってくるわ」

突然達也が立ち上がるといつもの癖でみのるの口は動いた。

「俺も一緒の奴」

「ハイハイ。いっつもお前は人任せだよな」

「料金は後払いで」

「ウゼー、人の金なんだと思ってんだ」

達也はいつもの事で慣れていた。正直、慣れたらいけないと分かってはいたが。簡単な言葉のキャッチボールではみのるの方はだいたい聞く側に立つ。しかし、そんな奴ほどしゃべり方がウザイのは何故だろう。

・・・たく、今週はバイトの給料日前だぞ。

ぶつぶつと呟く彼の背中を眺め、ニヤニヤしながら教室から出るのを見届けたみのるは「いつか(←重要)倍にして返すから俺は帰るわ」と心の中で呟き、窓に小走りで向かい開けた。


さぁ、逃げるか。


地上1メートルから、みのるは余裕満々で飛び降りる。