「無神経って……どっちがだよ」



 栄治は、壁のようにこわばった玲子の背中を、痛みをこらえる眼差しで見つめる。



 そして一呼吸後、さらさらとゆれる自分の前髪を指先でそっと梳き、

噛みしめた唇の下でぽつりと限界のつぶやきを漏らした。 



「……気安く触んじゃ、ねーよ」