リーシュコードにて




「触んなよ!」



 だけど栄治は、真っ赤な顔を上げると、

玲子の指先を払いのけてそう吐き捨てた。



「ガキ扱いすんなよ。

 ……泣くほど辛いんだったら、どうしてちゃんと言ってくれないわけ?!



 そしたら俺、今よりもっともっと、いくらだって働くのに。

 俺じゃそんなに頼りないのかよ。あんまり馬鹿にすんなよ!」   



 栄治は、払いのけた玲子の掌に一瞬視線を落とすと、息を詰めてそれに震える指先を伸ばした。



 そのとき栄治は、玲子が見たいつよりも猛る眼差しをしていた。



 まるで、荒れた波面をボードでねじ伏せて進むときのように。