「……玲子、悪いけど、俺のボードの始末、お前に頼んでもいいか?」 誠は、そのとき、いつになく歯切れの悪い口調でそう言った。 「始末って……それって」 玲子は、嫌な予感に背筋を凍らせながら口ごもる。 「当たり。ついにこの間の見合いの相手と、結婚、決まった。 サーフィンからは足洗うよ。 ボードは……鉄平さんがもらってくれたら、死ぬほど嬉しい」 誠は、無理のにじむ明るい口調で言った。