床に膝をついた栄治は、一瞬呼吸を止めると、 なにかを抑えるように唇を引きしめて古傷を温め始める。 玲子の冷えた左脚に、ゆっくりとぬくもりが流れ込んでいった。 玲子は、膝頭を熱く包み込む栄治の掌の大きさに気づいて、思わず息を呑む。 「……栄治、大きくなったね」 そして無意識に指先を伸ばすと、目の前でさらさらとゆれる髪を梳きながらぽつりと言った。 栄治が中学生の頃には、自分が度々すり傷や火傷、 打撲や捻挫の手当てまでしていたことを思い出しながら。