「……先輩」
栄治は、湯気の立つ蒸しタオルを作ると、
立てた両膝の陰で涙をふく玲子に歩みよった。
そしてその傍らにしゃがみ込み、左膝に手をそえてそれをゆっくりと伸ばしていく。
「裾、めくって。温めたらよくなるんだろ、脚」
「……自分でやるよ」
「いいから、おとなしくしなさい」
蒸しタオルを受け取ろうとする玲子に、栄治はぴしゃりと言う。
その口調があまりにも自分とよく似ていたので、玲子は顔を伏せたまま小さく笑った。
そして、カーゴパンツの裾を手早く膝上までめくる。
かつては校内随一の美脚と騒がれた白い膝頭には、
30センチ近くある傷跡が今も生々しく引きつれていた。
